●保育園児シックハウス症候群解決のための陳情書

堺市議会議長
中村 勝 殿
大阪府保険医協会皮膚科部会
シックハウス対策室長 笹川征雄

大阪府保険医協会・堺支部
                               支部長 赤星伸一
                             2002年8月19日

盛夏の候、貴職に於かれましては益々ご清勝のこととお慶び申し上げます。日頃は堺市民のためにご尽力いただき誠にありがとうございます。
私たち保険医協会は府下の開業医などが約8割の6200人あまりが加入している開業保険医の団体です。私たちはこの団体を構成する皮膚科部会・シックハウス対策室です。
一昨年、堺市五か所保育園の仮設舎でホルムアルデヒドによるシックハウス症候群が発生し、当該施設の職員、園児が健康障害をおこし社会問題になりましたが、施工業者がホルムアルデヒドの発生しやすい建材を使ったことが判明して3ヶ月の指名停止処分を受けました。また、今年、6月には堺市五か所保育園保育士4名に全国初の労災認定が判断されシックハウス症候群が公に認知され大きな反響を呼んだのは記憶に新しいことです。
本年6月に堺市の湊保育園で新築園舎のシックハウス症候群の主要な原因物質であるトルエン濃度が、最高で4800μg/m3と国の指針値(260μg/m3)を18倍も上回る結果がでました。園児にもシックハウス症候群の特徴的な粘膜・皮膚刺激症状、中毒症状が発生しており、シックハウス症候群診断基準より、トルエンによるシックハウス症候群の発症と考えられます。
小児は環境への抵抗性や対応能力が弱く、健康障害の影響が大きい年齢層です。また、小児のアレルギー疾患(喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎)の罹患率は30%に及ぶと言われますが、アレルギー疾患患者はシックハウス症候群に罹患しやすいと考えられます。
私たちは第一線の医療を担当し、住民の健康を守る開業医の立場から、園児健康調査は協力いたしますので、以下の2点につきまして貴職のご高配を承りたく、宜しくお願い申し上げます。

1、 湊保育園におけるシックハウス症候群問題の早期解決をはかるための対策(トルエン発生源除去、園児医学調査の継続)を早急に実施してください。
2、 堺市保育園民営化により、すでに新築された保育園の園児健康調査と施設内の揮発性有機化合物(ホルムアルデヒド、トルエンなど)の測定調査を実施してください。また今後新築される保育園については、シックハウス症候群が発生しないように、十分な対策と指導をしてください。